なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか(スーザン・A・クランシー ハヤカワ文庫2006年)【7】

地球外生物、昔はワクワクしたなー。
最近はあまり流行ってないし、地球人以上の知能を持ったエイリアンが秘密裏に地球に来ては人をさらってる、
みたいな話に興味はあまり湧かなくなってしまったのだけど・・。
アメリカの心理学者が、アブダクション(=宇宙人にさらわれて色々実験されてから解放される)にあったという人たちからヒアリングを重ねて、
それを分析した本という事でちょっと興味が湧いて。
「あのね、アメリカでアブダクションにあったって人、ほとんど全て中流階級の白人で、黒人はいないんだって」とオススメされて読んでみました。


なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか (ハヤカワ文庫NF)

なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか (ハヤカワ文庫NF)

グレイ!
だっけこのタイプは。

【内容】
「エイリアンに誘拐されたことがある人求む」そんな新聞広告を見て集まってきた人たちを、
ハーバード大学の心理学者が一人ひとり話を聞いていく。
彼らに客観的証拠は無いけど記憶はあったり、記憶はないけどたぶん誘拐されたと思っていたり。
そう思い込むに至った人間の心理を解き明かしていきます。
(手元に本無いから、amaonの説明パクってしまった・・)


【感想】
エイリアンは出てきませんでした。
残念。
心理学的、社会学的な見地から、「なぜ人はエイリアンにさらわれたと思うのか」、つまり「実際に体験していない事を、体験したと思い込み、その記憶すら存在させてしまう」
にいたるプロセスに考えを巡らせていきます。
逆行催眠は忘れていた記憶を呼び覚ますのではなく、「こういう経験があったとしたら今の事に説明がいく」という無意識下の思いから、記憶を捏造してしまうと。
そんな思考の様相が、エイリアンによる誘拐と人体実験の具体的描写とともに書かれていてとても面白いです。
幼少期の性的虐待の事を聞き出すのはお互いにとってツラいが、アブダクションの記憶はみんな喜んで話すと。
そしてそれはショッキングで痛い(細く長い管を性器に挿されて精子を採られた、とか)出来事なんだけど、皆一様に、「あの経験があってよかった。あれをきっかけに僕は生まれ変わりました。僕は選ばれたのです」と言っていると。
そういえば日本には無いですねー、こういう文化。
いかにもアメリカっぽいなー、と思った次第です。
ああ、エイリアン映画がヒットするとその数年後に、アブダクションに会う人も増えるようです。
おすすめ。